2019年07月13日付

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中央アルプス駒ケ岳で、北ア乗鞍岳から飛来したとみられる雌のライチョウ1羽が約半世紀ぶりに見つかり1年。中アでは絶滅したとされる国特別天然記念物の“復活”が、注目を集めている▼元中ア地区山岳遭難防止対策協会救助隊副隊長で民俗研究家の塩澤一郎さん=駒ケ根市=によると、中アで最後にライチョウが確認されたのは1962年ごろ。江戸時代の文献「駒ケ嶽詣」には、濃ケ池近くで野宿した信仰者らが岩鳥の声に驚き目を覚ましたと、相当数が群生していた様子が記されている▼環境省や県環境保全研究所などが復活事業に乗り出す中、同研究所などの研究グループから心配な予測が発表された。地球温暖化により、高山植物の減少で今世紀末に北アでライチョウの生息地が消失する恐れがあるとの内容。年度内に中アも含めた県内各山域での予測結果も公表されるという▼今月1日には復活事業で乗鞍岳から運んだ有精卵から5羽がふ化したが、残念ながら全滅の可能性が伝えられた。梅雨の低温などが要因とされ、山頂付近にはキツネのふんも見つかった。絶滅危惧種にも指定されるライチョウ保護の道の険しさが示された形だ▼中アの国定公園化を目指す地元自治体にとっても大きな問題提起といえる。温暖化対策は一筋縄ではいかないが、せっかく戻ったライチョウの生息環境の維持を一つの目標に、環境保護への知恵を絞りたい。

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