2019年07月17日付

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旅の途中、ゆらゆらと水面に映る月影に、おのれと同じ旅人を夢想したのだろうか。〈月も水底に旅空がある〉。句集「草木塔」に収められている種田山頭火の句作。旅に生きた漂泊の俳人は、月を題材にした数多くの句を詠んでいる▼編集工学研究所長の松岡正剛さんは、著書「花鳥風月の科学~日本のソフトウエア」(淡交社)で山頭火の月の句を挙げつつ、自身も池やたまり水に月をのぞいた時、そうしている自分が空を旅しているように幻想した、と書いている。月に導かれる感覚だろうか▼〈名月やうさぎのわたる諏訪の海〉蕪村。満ち欠け、夜ごと姿を変えながら地球に寄り添っている月には昔から、人々の想像力が向けられてきた。現代人はあばただらけの月の相貌を知る。神秘性は薄らいだかもしれないが、月旅行へのあこがれは消えないだろう▼1969(昭和44)年7月20日、米国の宇宙船「アポロ11号」が月に着陸した。人類にとって偉大な飛躍となる第一歩をアームストロング船長が「静かの海」に記してから半世紀になる。人間の意識の地平が宇宙へと大きく一気に広がった歴史的なできごとである▼近年は民間企業も参入し、人類が再び月を目指す計画が相次ぐ。さらにその先の火星有人探査へとつながるのか、興味は尽きない。こよいは満月だ。ガリレオも感嘆した美しく魅惑的な月を見上げてみよう。月と感応し合えたらいい。

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