2019年7月19日付

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人間がイノシシによる農業被害に悩まされるのは昔からのことで、江戸期には農地への侵入を防ぐために「猪垣」や「猪土手」が各地に築かれた▼大規模なものとして県内では、茅野市・原村・富士見町にまたがる八ケ岳西麓の16キロ、辰野町・箕輪町・南箕輪村の木曽山脈北東端に連なる20キロ、伊那市と宮田村に延びる8キロのものなどが知られている▼県発表の速報値では2018年度のイノシシによる農林業被害金額は6400万円余に上る。諏訪地域は125万円、上伊那地域は410万円。経年変化を見れば減少傾向ではあるのだが高い水準にあり、かつては中南信地域が中心だった分布域も県内全域に拡大した▼農作物への被害についてのみ心配していたイノシシだが、昨今は豚コレラウイルスの感染経路として有力視されるようになっている。県内でも今年に入って5頭の感染が確認された。県はトウモロコシの粉で包んだワクチンをイノシシに食べさせるために山中に埋めたり、養豚場周辺の消毒を呼び掛けたりなどの対策を進めている▼猪垣は史跡として保存されているものもあって、実際に目の当たりにすると、現代のような重機も技術もない時代に、これだけの土木工事をするのにはどれほどの労力がかかったのかと気が遠くなるような思いになる。先人も苦労して乗り越えてきたことに勇気をもらいながら、この非常事態をしのぎ切りたい。

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