2019年08月24日付

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夏の風物詩として親しまれる花火。夜空を彩る大輪の花もいいが、この時期スーパーやホームセンターの店頭に並ぶ玩具花火にも日本人の心をつかむ風情がある。迫力では打ち上げ花火に及ばないものの、家庭で手軽に楽しめ、家族や仲間との絆を強める場も提供してくれる▼この夏、久しぶりに花火を購入し、家族で楽しんだ。手持ち花火や吹き出し花火、回転物などさまざまな種類がセットになっていて価格は3000円ほど。大型の花火は私の担当で、父親の威厳を示す機会にもなった▼ひとしきり華やかな花火で盛り上がった後は定番の線香花火。はかなくも美しいその姿に人生を重ねる人も多いようで、火玉が落ちるまで数十秒間、控えめながら多様な変化を楽しませてくれる▼日本では江戸時代に作り始められたとされる線香花火。燃え方には起承転結があり、火花の形状から「牡丹」「松葉」「柳」「散り菊」の4段階に分類されるという。近年は安価な中国産に押されて国産品は高級品扱いだが、その差は歴然。表情豊かな火花に職人技を感じる▼住宅事情や安全性の問題から、都市部では自由に花火を楽しめなくなったと聞く。マナーを守るのは当然のことだが、移ろう火花に人生を見る日本人の情緒は失いたくない。線香花火には交感神経を抑制するリラックス効果もあるとされる。過ぎゆく夏を感じながら、粋な時間を過ごしてみたい。

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