2019年08月28日付

LINEで送る
Pocket

〈わたしはふしぎでたまらない…〉。童謡詩人、金子みすゞの詩「ふしぎ」はこんな書き出しで始まる。〈黒い雲からふる雨が/銀にひかっていることが〉。詩人は自然現象のいくつかを挙げ、〈ふしぎでたまらない〉と素直に表現する▼そして詩はこう結ばれる。〈わたしはふしぎでたまらない/たれにきいてもわらってて/あたりまえだ/ということが〉。確かに刷り込まれている常識は「当たり前」であって、「どうしてだろう」と問いを発することは少ない。みずみずしい感性がうらやましい▼不思議を感じ取る鋭い感性の持ち主といえば、素朴な疑問を追求し、自然の仕組みを解き明かしていく科学者や研究者を思い浮かべる。ノーベル物理学賞受賞者の益川敏英さんは「自然や社会の現象はどんなことでも、必ず『なぜか』を問うことができる」と言う▼「なぜか」と問いを発し、考え続けることが重要だとした上で、益川さんは述べている。〈その問いを発するためにも、ひろい世界にふれることが大切です〉(「科学にときめくノーベル賞学者の頭の中」かもがわ出版)。新しい世界こそが疑問の扉を開くという▼好むと好まざるとにかかわらず、科学とは縁の切れない世の中だ。科学的な見方や考え方を身につける必要性は、ますます高まっていくだろう。まず周りの自然を注意深く観察し、その力を感じ取れる感性を磨いていきたいものだ。

おすすめ情報

PAGE TOP