2019年08月29日付

LINEで送る
Pocket

美ケ原と霧ケ峰で涼風を全身に浴びた。夏の花は山登りを始め、秋の花々は逆に山を下ってくる。個人的に好きなマツムシソウの薄紫色も揺れていた。夏と秋が交じるこの時季の高原は植物の種類が豊かだ▼直後に東京へ出掛けたものだから、都会特有の肌にまとわりつく暑さがより堪えたかもしれない。車のエアコンをやや強めにして首都高を走っていると、オリンピック・パラリンピックで使われる施設が見えた。いよいよという高揚感より「この暑さ、大丈夫だろうか」と不安を感じた▼マラソンや競歩の酷暑対策で、元マラソン選手の鯉川なつえさんが時事通信の取材に答えていた。1995年のユニバーシアード福岡大会に出場。独走していたが、39キロ付近で突如ふらついて倒れた経験を持つ。熱中症だった。意識を失った。死んでもおかしくなかったと振り返っている▼日本の気候の特徴は高温多湿。現役引退後、熱中症を研究した鯉川さんは、汗の蒸発などを妨げる高湿度の危険性を指摘し「熱中症は予防できると思わないこと」と警告。「選手本人がやめる勇気、周囲がやめさせる勇気を持つこと」が唯一の備えと説いていた▼ハードはもちろん、ソフトでも酷暑対策には限界があろう。感動の場面を、歓喜の瞬間を見逃すまいと観る側も必死になるだろうが、自分の、周りの命を守るために途中で観戦をやめる決断も必要になるのではないか。

おすすめ情報

PAGE TOP