無藝荘で咲く1輪 小津家ゆかりの彼岸花

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無藝荘(奥の建物)の庭先に咲いた小津家ゆかりの彼岸花

小津安二郎監督(1903~1963年)が晩年の仕事場にした茅野市北山の無藝荘で、小津家から受け継いだ彼岸花が初めて咲いた。同市で21~29日に開く第22回小津安二郎記念・蓼科高原映画祭では、小津監督が58年に制作した映画「彼岸花」を上映することから、地元関係者の喜びもひとしおだ。

球根は、小津監督の鎌倉の自宅を処分する際、弟の信三さん、ハマさん夫妻が受け継ぎ、その後、めいの亜紀子さんが千葉県野田市で大切に育てていた。亜紀子さんが自宅の庭じまいをすることになり、7月に無藝荘を訪れ、小津監督の自宅にあった赤い花と、俳優の笠智衆さんからもらった白い花の球根を植え付けた。

無藝荘で咲いたのは1本の赤い花。5日に気付いたという無藝荘火代番の藤森光吉さん(73)は、標高1300メートルで咲く花を見て「1輪でもうれしい。小津文化が根付いてくれたら」と願った。家族4人で訪れた小津ファンの関根盛敏さん(42)=埼玉県嵐山町=は「小津監督がここで過ごしていたと思うと感慨深い」と話し、小津家ゆかりの彼岸花に目を細めていた。

茅野市の映画祭実行委員会では、今年度から「彼岸花プロジェクト」を始め、亜紀子さんから譲り受けた球根を富士見高校の生徒などに託し、若い世代に小津監督の精神を伝えている。彼岸花の開花は無藝荘が初めてという。

映画「彼岸花」は小津監督初のカラー作品で、婚期を迎えた3人の娘を軸に親子の愛情が交錯する物語。28日午後1時から茅野市民館で上映し、上映後には女優の山本富士子さんの舞台トークが行われる。

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