2019年09月17日付

LINEで送る
Pocket

車を走らせていると、この頃は道路の荒れが目立つ。車道は至る所がひび割れ、へこみ、歩く人が歩道を覆って茂る草をかき分けて行く姿も見る。新しい道が次々に開けた時代とは変わって、維持すらも難しい情勢になったことを実感する▼舗装の修繕はともかく、沿道の草やごみの処理は近隣住民の力に頼るところも大きい。耕されない農地、空き家が増えるにつれて環境も荒れてくる。沿道住民、道路を管理する行政とも歯がゆい思いをしているだろう▼富士見町の花場という集落は、西の山際にあって景色が明るく開ける感じがする。道脇の土手はすっきり刈られ、色とりどりの花が咲くスポットもある。家々の庭先から畑まで丹念に手が入っていて、暮らす人たちの心持ちが伝わってくるようだ▼この景観を作る一人、五味勝郎さん(77)は数十年前、運転免許を取りたての娘が事故に遭わないようにと沿道の草刈りを始めた。父の代からの花植えも受け継ぎ、川に入って雑草木の除去もする。「帰省した人がキラキラした水面を見たら、古里の良さを感じられるだろ?」▼誰かがやらなくては地域が荒れる、と五味さん。集落を維持するには住む人が増えるだけでなく、自ら地域を守る覚悟が要る、とも。今は「働けるうちが花」と励むが、自分の年を数える時、いずれこの思いを継いでくれる人がいてくれるだろうか―それが気がかりだという。

おすすめ情報

PAGE TOP