2019年09月23日付

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4年ほど前に伊那市で取材した農業のセミナー。「さまざまな知恵や技術を持つ『百姓』を極めたい」という若手農業者の発表に、なるほどと膝を打った▼農業に従事する人をみると、米や野菜、動物に関する知識だけでなく、気象や土壌、化学、機械、建築、経営など、幅広い分野に精通していることに驚かされる。ちょっとしたトラブルにも動じることなく、身の回りのことはほぼ解決してしまう▼百姓とは本来、多くの姓や職業があることを意味し、農家だけでなく一般市民全体を指す言葉だったとされる。先の若手農業者は、頼もしい諸先輩への敬意から「多様な能力を持つ人」と解釈したのだろう。強い共感を覚えた▼同市西箕輪公民館は、20年ほど前から「冬の自然観察会」を開いている。あえて厳寒期に子どもを外に連れ出し、自然観察や寒さを利用した遊びを体験させる。白鳥孝市長が分館役員だった当時に「自然の中で火をおこし、ナイフを使って魚をさばくような、たくましく生きる力を身に付けてほしい」と企画し、講師を務め続けているこだわりの取り組みだ▼千葉県では台風上陸から2週間たった今でも一部地域で電気や水道が止まり、多くの人が依然として不便な生活を余儀なくされている。大災害のたびに繰り返される「想定外」の言葉は通用しなくなってきている。大災害を想定した、真の意味での生き抜く力に目を向けたい。

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