黒曜石加工がものづくりの原点 岡谷でシンポ

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「『ものづくりのDNA』を語る」をテーマにした岡谷縄文シンポジウム

長野県と山梨県にまたがる「星降る中部高地の縄文世界」の日本遺産認定1周年を記念して、岡谷市教育委員会は28日、岡谷縄文シンポジウムを同市のテクノプラザおかやで開いた。かつて諏訪地方で盛んだった黒曜石の加工を現代に通じるものづくりの原点と捉え、「『ものづくりのDNA』を語る」をテーマに、基調講演やパネル討論を実施。約100人が参加して最新の調査結果や地域の歴史について話を聞き、古代のロマンに思いをはせた。

シンポジウムは2部構成。第1部では早稲田大学考古研究室の高橋龍三郎教授が「石器石材採掘坑の出現に関する比較と民族誌」と題して基調講演した。高橋教授は日本の黒曜石産地や、世界の旧石器時代における採掘坑の特徴などを紹介。黒曜石の採掘、加工にみられるような古代のものづくりの背景には、技術だけでなく「必ず精神生活、精神世界が密接に絡んでいる」と指摘した。

第2部では元県考古学会長の会田進さんをコーディネーターに、岡谷蚕糸博物館(岡谷市)の髙林千幸館長と黒耀石体験ミュージアム(長和町)学芸員の大竹幸恵さん、元市経済部長の鮎沢茂登さんが、高橋教授とともにパネル討論した。

会田さんは「旧石器時代から諏訪地方は和田峠を中心とする黒曜石を利用し、専用の道具にしてきた」「ものづくりの歴史は縄文以来連綿と続く」とし、奈良・平安時代の麻布作り、江戸時代の木綿の小倉織り、明治時代からの製糸業などを紹介。ものづくりのまちとして発展してきた岡谷の歴史を振り返った。

大竹さんは長和町にある星糞峠黒曜石原産地遺跡における最新の調査結果を説明。黒曜石の採掘の跡地から、粘土質の土を掘るための棒や笹竹で編んだざる、赤い漆器の破片など採掘に関わる道具が初めて発見されたと報告した。漆器については「祭りで使っていた鉢が壊れ、そのかけらをお守りとして持ってきた人が無事仕事を終えて置いていったのでは」と想像し、「縄文人の行為を自分の体験に置き換えることで、人間味の強い風景を発見することができた」と話していた。

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