事前の備え大切 諏訪地方大規模停電から1年

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昨年10月の台風24号による倒木で電線の断線が相次いだ八ケ岳山麓=原村

昨年9月30日から10月1日未明にかけて県内を通過し、諏訪地方で最長5日間、最大2万戸の大規模停電が発生した台風24号の被害から1年が経過した。今年9月には、台風15号の被害を受けた千葉県では停電が2週間以上続き、市民生活に深刻な影響を与えた。電気の供給が断たれた状況にどう対応するか。経験者は事前の備えや隣近所の支え合いの大切さを訴えている。

「経験しないと準備の大切さは分からない。貴重な経験だった」。茅野市豊平の別荘地で3日間の停電を経験した男性(75)はこう語り、停電を想定した備えの重要性を強調した。

男性は妻(69)と2人暮らし。停電で給湯機が使えず、カセットコンロ1台で煮炊きを行い、風呂は近くの市営温泉施設を利用した。別荘管理センターの発電機でスマートフォンを充電した。「もし停電が厳冬期だったら」。危機感が募ったという。

男性はその後、出力900ワットの発電機を購入した。情報収集のためのテレビやスマホ、インターネットのほか、冷蔵庫や灯油ボイラーの電源に活用する考えだ。「発電機は万能ではない。限られた出力をどんな電気機器に使って乗り切るかが大切」と話す。

マルモ機械(本社・茅野市)によると、昨年の発電機の販売台数は例年の3割増だった。売れ筋は20万円前後の機種で、今年は千葉県の停電もあり「長くて半年待ち」の状態という。丸茂大介社長(39)は「使用する機器や使用方法に合わせて発電機を選ぶ必要がある。早めに相談してもらえたら」と語る。

茅野市玉川南小泉の土屋千秋さん(38)は、夫(41)と6~11歳の子ども3人の5人暮らし。停電した3日間は「復旧の見通しが分からない状態」が続いた。周囲の地区が復旧する中、「不安といら立ち」を覚えたが、子育てなどで交流がある隣近所の存在が支えになったという。

土屋さんは「5、6軒のご近所さんで日が暮れる前に集まり、どうするか話し合った。協力したから乗り越えることができた」と述懐する。照明機器の購入や夕食の買い出し、子どもの預かりなどを分担した。教訓を踏まえ、飲料水や簡易トイレ、保存食などの備蓄も始めている。

大規模停電は強風で倒木が多発し、電線を切るなどしたことが原因だった。茅野市は山際ではさらに強い風が吹いていたとみて、年度内に風速計2基を八ケ岳山麓に設置する。水道の安定供給などに向けて発電機や発電車も配備した。県などは送電線近くの樹木を伐採する「予防伐採」に着手している。

停電時に「電話が通じない」「いつ復旧するのか分からない」といった声が殺到した中部電力。停電地域を地図上に表示するスマートフォン向け無料アプリ「停電情報お知らせサービス」を開発し、今年1月から運用を開始した。スマホで停電の復旧状況や発生規模を確認し、問い合わせることもできる環境を提供している。

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