2019年10月3日付

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小さい頃、テレビで野球中継を見ていると、選手たちが随分大人に思えたものだ。そのイメージは今も抜けず、テレビに映る選手たちはみんな年上のように錯覚してしまう▼大相撲もそんな感じで見ていたが、この力士はまだあどけなさが残る表情が印象的だった。付け人に暴力を振るったとして引退を勧告され、記者会見で処分が重すぎると訴えた十両の貴ノ富士である。まだ22歳というから一般社会では大学を卒業したぐらいか。若く見えるのは当然だろう▼付け人は関取の身の回りの世話をしながら礼儀やしきたりを学ぶ。中学を出てすぐ弟子入りする人もおり、こちらも若いことは想像がつく。暴力が許されないのは言うまでもないが、子どものけんかのようにも見える▼番付がすべての縦社会。厳しい指導が反骨精神を養う面があるかもしれない。相撲界はこうした人材育成システムの下で受け継がれてきたのだろう。だが、相次ぐ不祥事を見ていると、成熟した大人の振る舞いとは思えない事例も目立つ▼2022年4月には成人年齢を18歳に引き下げる改正民法が施行される。改正をめぐる議論では近年、精神的・社会的に未成熟な若者が増えていることが挙がっていた。最近の児童虐待事件を見てもそうした印象を持つ。さまざまな問題が起きるたびに”犯人探し”が行われるが、そんな場当たり的な対症療法では解決できない根深さを感じる。

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