サンリツ服部美術館 企画展後期11月14日から

LINEで送る
Pocket

奈良時代から詠い継がれる和歌の優れた36人の詠み人「歌仙」を描いた最も古い「佐竹本三十六歌仙絵」の1枚で、重要文化財の「中務像」が、諏訪市のサンリツ服部美術館の特別企画展で後期の11月14日から初公開される。100年前の大正時代に分割されて以来、ほとんど公開された記録のない名作。色鮮やかな衣をまとった表情豊かな女性の姿が表舞台に登場する。

特別企画展は「やまとうた 三十一文字で綴る和の情景」。今月12日からスタートし、和歌にちなんだ古筆や歌仙絵、モチーフにした工芸品などを展示する。目玉の「中務像」は後期展示で約1カ月にわたり公開予定だ。

三十六歌仙絵は古くから数多く描かれてきたが、その中でも最高と評価が高いのが「佐竹本」。鎌倉時代の作とされる絵巻物で現存する最古の作品。旧秋田藩主の佐竹侯爵家に伝わったことから、こう呼ばれている。しかし、大正時代に手にした実業家が経営不振で売りに出した際、あまりの高価さゆえに買い手がつかず、当時の財界人たちが分割購入という手段を取ったとの逸話が残る。その総額は現在の価値で数十億円と言われている。

中務は、下巻の最後に登場する平安時代の歌人。名前は不明で父親が中務卿だったことから、「中務像」と呼ばれる。女性らしい恋の歌を得意としたと伝わり、絵には恋心を詠んだと思われる歌が添えられている。

重文指定は1950年。すでに個人所有となっており、その後も複数の所有者を経て近年になって同美術館に寄贈された。指定後に一般公開された記録は見当たらず、今回の企画展が「初公開となるのでは」(同館)という。

一方、京都市の京都国立博物館でも今月12日からの特別展「流転100年 佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美」が開催される。こちらは全国に散らばる31点を集めた過去最大規模の展示会だ。サンリツ服部美術館は中務像のほか佐竹本の「大中臣能宣像」を所有している。同作品は展示協力するが、「中務像」は寄贈者の「初展示は諏訪の人たちに見てもらいたい」との意向で見送られ、同美術館での公開となる。

おすすめ情報

PAGE TOP