2016年07月05日付

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被爆国の日本にとっては複雑な気分の命名だ。きょうは「ビキニスタイルの日」だそうだ。この女性用水着は戦後間もなく、ビキニ環礁での核実験にちなんで名前が付いたという。原爆被害の悲惨さは、当時まだ欧米には十分に伝わっていなかったのだろうか▼ビキニ環礁は太平洋上のマーシャル諸島にあるサンゴ礁の島だ。米国が1946年から58年にかけ、核実験を繰り返した。54年の水爆実験ではマグロ漁船の第五福竜丸など、多くの日本漁船の乗組員が被ばくした。いわゆる「死の灰」を浴びたのである▼ビキニ環礁の核実験における海洋放射能汚染を解明した科学者に、猿橋勝子博士がいる。女性科学者の草分け的存在だ。優れた業績を残した女性科学者に贈られる「猿橋賞」は、博士の寄付金を基に創設された▼下諏訪町出身のプロデューサー鎌倉悦男さんが以前本紙への寄稿で、猿橋博士の言葉を紹介していた。「今すぐ(核汚染の)実害を示さなくても、その実態をつかむことをないがしろにしてはいけない。それは人類の安全を守るための至上命令だ」。この警告を私たちは強くかみしめなければならない、と鎌倉さんは書いた▼今年5月には、第五福竜丸以外の漁船の元乗組員ら45人が国に対して訴訟を起こした。国が被ばく記録を開示せず被害回復の機会を奪われた、などとして損害賠償を求めている。ビキニ事件はまだ終わっていない。

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