富士見町 初の避難勧告 危機意識に温度差

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台風19号の接近に伴い、12日午後、県内に先駆けて住民への避難勧告を発令した富士見町災害対策本部。同町が勧告を発令するのは今回が初めてで、20カ所にも及ぶ避難所を開設したのも過去に例がない。異例の状況の中、町本部と町民は即断の行動が求められた。

町総務課危機管理係では「特別警報が発令されたので、住民が不安から混乱に陥ると思い、避難勧告を速やかに出した。迷いはなかった」という。雨脚が強まる中、住民や観光客から自主避難を希望する相談も寄せられていた。

勧告の対象となったのは西山、川地地区の18集落、1328世帯、3682人。このうち避難した人は対象外地域の自主避難も含めて最大で159世帯、406人。

一次避難所は地区公民館、集落センター17カ所を利用し、地区の自主防災会が運営した。二次避難所は町民センターや旧落合小学校など3カ所で町が設営、福祉施設2カ所に福祉避難所を置き、町社会福祉協議会が運営に当たった。

避難した人は対象人数に対して約10・6%、世帯数で約12・0%と1割にとどまった。

町災害対策本部は「山頂での総雨量は特別警戒の基準値を超えて土砂崩落が起こりうる状況ではあったが、住宅地周辺ではそれほどの雨量を実感できず、警報と住民の危機意識に差異があった」と分析する。

勧告を受けた神代区の森山好一区長は「山が迫り、区の公民館は危険と判断して二次避難所へ向かった。近所の住民が協力し、残りたいという人も説得しながら手を取り合って避難できた」と振り返る。一方、避難した人が住民数の3%に満たない区もあり「地区によって自主防災組織の受け止めや対応にも温度差がある」(本部)ことも浮き彫りとなった。

町は今回の体験を踏まえ、「有事の際に核となる自主防災会の強化支援が重要。避難が空振りに終わったことを無駄と思わず教訓を生かす意識を住民にも広めたい」としている。森山区長も、「避難誘導に手いっぱいで食料品を持参する余裕がなかった。避難所での情報収集手段も少なく、不安。今後の対策に生かしたい」と話していた。

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