2019年10月18日付

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まだ駆け出しの頃に読んだ報道・広報写真の指南書に書かれていた。「いくらカメラが進歩しても写真を撮るのは人である。その人の能力、感性以上に写真は写らない」と。重い言葉である。経験を積んだ今も身の縮む思いになる▼当時は既に自動焦点(AF)が主流になっていたが、まだフィルムの時代で、写真の出来栄えは現像するまで分からなかった。やがてデジカメが登場。その場で画像の確認が可能になり、記憶容量が許せば何枚も撮影できるようになった。まさに”下手な鉄砲”である▼スマホの普及で写真はより身近になった。そんな現代社会の落とし穴と言えるか。アイドル活動をする女性が自宅で男に襲われたという事件である。なぜ住所が分かったのか。男は会員制交流サイト(SNS)に投稿された女性の顔写真の瞳に映った景色から、検索大手の地図サービスを使って最寄りの駅を特定。駅で待ち伏せし、後をつけて自宅を突き止めたという▼断片的な情報をつなぎ合わせて個人情報を特定する「モザイクアプローチ」と呼ばれる。街中にはさまざまな情報が潜んでいる。市区町村の表示板、店舗や企業の看板、特徴的な建物など。写真に写り込むと個人情報の特定につながる危険性がある▼せっかくの新しい技術やサービスも使う人次第。こうした手の込んだ犯罪が起きるたびに思う。その能力や熱意をもっと良い方向に向けたらと。

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