ジカ熱流行 日本に”上陸”する恐れも

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国内ではほとんど知られていない感染症「ジカ熱」が中南米を中心に猛威をふるっている。欧米などでも流行地域から帰国した人の感染が報告された。世界保健機関(WHO)は「緊急事態」を宣言し、今後1年間で感染者が最大400万人に上ると警告している。地球規模で人々が連日行き交う現代社会を考えると、日本に”上陸”する恐れも十分にある。無関心ではいられない。

ジカ熱は、蚊が媒介するジカウイルスによって引き起こされる。潜伏期間は7~10日だが、大半の人は症状が出現しない。発症しても発熱や皮膚のかゆみ、下痢などで比較的軽症とされる。だが、ワクチンなど有効な治療薬は開発されておらず、今のところ蚊に刺されるのを防ぐしか手立てがない。

人々を不安に陥れているのは、妊婦が感染すると脳の発達に遅れが出る「小頭症」の新生児が生まれる可能性があることだ。流行国のブラジルでは、感染が拡大するのに比例して「小頭症」の赤ちゃんが急増しているという。科学的な裏付けこそないが、ジカ熱との関連性が強く疑われている。

日本も対策に乗り出した。WHOの宣言に呼応し、厚生労働省はジカ熱を感染症法に基づく「4類感染症」に指定することを決め、15日から患者を診察した医師が保健所への報告を義務づける。ウイルスの上陸を阻止するため、空港での水際対策も強化する。

ただ、このウイルスを媒介するヒトスジシマカは国内にも広く分布している。一昨年、東京・代々木公園を中心に感染が広がったデング熱も、この蚊が媒介した。冬の期間は安心だが、活動期の夏場に海外で感染した人が国内でヒトスジシマカに刺されると、デング熱と同じような経路で感染が広がる可能性は否定できない。

人から人への感染はないとされる。が、感染者との性交渉や輸血で感染したり、新生児に視覚障害が出る可能性も指摘されている。「小頭症」との因果関係もそうだが、このウイルスにはまだ分からないことが多すぎる。

今年8~9月にはリオデジャネイロ五輪があり、期間中は日本からも開催国ブラジルを訪れる人が増えることが予想される。中でも妊娠している女性は、五輪期間中に限らず、流行国への渡航は見合わせたほうが賢明だ。

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