2019年11月10日付

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県立歴史館できょうまで前期の展示が行われている開館25周年特別企画「土偶展」の図録を読んでいたら、土偶を多く持つ集落と持たない集落があったことを教えられた▼塩尻市の平出遺跡では185点もの土偶が出土しているが、直線距離で4キロしか離れていない俎原遺跡では13点しか見つかっていない。いずれも100棟を優に超える建物跡が発見されている縄文中期の大規模集落である。縄文の時代にも、ものづくりの盛んな地域とそうでもない地域があるのが面白い▼今回の企画展には国宝の土偶5点がすべてそろった。昨年、東京国立博物館で土偶に火焔型土器を加えた縄文の国宝すべてがそろった際には大変な盛況だったと聞いていたので、ある程度の混雑は覚悟していたが、今月2日に訪れた際はにぎわってはいたものの、待ち時間もなく、さまざまな角度からじっくり眺めることができた▼県民にはおなじみの「縄文のビーナス」と「仮面の女神」は言わずもがな、青森県から来た「合掌土偶」は膝を立てて座り胸の前で手のひらを合わせているなど、いずれも際立った個性が鮮烈な印象を残す▼23日からは、諏訪地域から山梨県にかけての中部高地の土偶が中心の展示が始まる。何しろ分からないことが多い時代で、図録の解説も「……ようである」「……と思われます」などと断定を避ける表現が目立つ。想像をたくましくして楽しみたい。

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