2016年07月08日付

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近ごろの猫ブーム、猫好きにはたまらない。テレビや店頭に姿を見つけては「にゃーん」。つい猫語で感嘆の言葉を発して、周囲をあきれさせている▼かつて猫が人気を博したのは1980年代。校則破りの学生服を着て「なめんなよ」といきがる姿がもてはやされた。当時は空前の好況に沸いたバブル期。そうした時代背景に照らせば、今の流行をどう見よう▼市場はまさに「猫もしゃくしも」猫頼み。あやかる経済効果は年間2兆円超との推定もあり、「ネコノミクス」の造語まで生まれた。人は、時間に追われてすべきことに縛られる暮らし、犯罪や災害の相次ぐ社会の中で、よりどころのなさや不安を抱える。猫はそれを尻目にのんびり居眠り▼どんな状況でも力まず、こびずに自然体。その姿への憧れだろうか。人気の元が癒やしなのか現状からの脱却願望か気になる。それに当の猫たちを取り巻く環境も安楽とはいえない。猫の殺処分は全国で年間約8万匹。人気の影響で売買価格が跳ね上がり、過剰繁殖の果てに処分数が増える懸念もある。ブームの陰にある問題にも目を向けられるといい▼米国の野生動物写真家、ロジャー・カラスは、猫を「自分の同意のない変化を嫌う」と称したとか。安倍政権の評価を問う選挙が迫る。公約は有権者にこびず、猫の目のごとくコロコロ変わらないことを願う。こちらも猫に倣って確かな同意の一票を。

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