持続可能な観光地目指して 御射鹿池企画・上

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大型観光バスや大勢の観光客でにぎわう御射鹿池を望む歩道=10月30日午後1時43分

茅野市奥蓼科にある農業用ため池「御射鹿池」が新たな観光地として脚光を浴び、大勢の観光客が押し寄せている。特に昨年の紅葉シーズンには渋滞や路上駐車が発生。地元関係者は、急激な旅行者の増加は観光地の満足度を低下させる「オーバーツーリズム」につながると懸念し、実態調査や混雑時のマイカー規制を求める。御射鹿池を拠点に全市的な宿泊客と観光消費額の増加を模索する動きも始まった。観光関係者の活動をリポートする。

「渋滞でチェックインの時間にお客さんが間に合わず、バスや従業員も遅れた。マイカーの旅行者には『どうなってるんだ』『ちゃんと整理しろよ』と怒られます」

御射鹿池近くにある明治温泉の鈴木義明社長(46)は昨年秋をこう振り返り、オーバーツーリズムを指摘した。ホームページで混雑状況を発信するため、御射鹿池の駐車場を見渡すカメラを温泉入り口に設置する計画という。

御射鹿池を一躍有名にしたのは、画家の東山魁夷が御射鹿池をモチーフに描いた「緑響く」(1982年)だ。2000年代に入り、緑響くの世界を実写で再現する吉永小百合さん出演の液晶テレビのCMが話題に。信州ディスティネーションキャンペーンで白駒池と御射鹿池を巡る観光ルートが定着し、絶景本やSNSを通じて幅広い世代にも認知されるようになった。

17年には駐車場(普通車31台、大型車5台)と御射鹿池を展望する広い歩道が整備され、大型バスの乗り入れも可能になった。市は今年度、木造平屋建て(床面積22平方メートル)の公衆トイレを大型車の駐車場脇に建設する。

県観光地利用者統計によると、奥蓼科温泉の18年度利用者数は前年同数の9万3000人。施設利用者が基準のため御射鹿池を訪れる観光客の数は把握できていない。地元関係者は「四季を通じて相当数が訪れている」と話す。

紅葉シーズンを迎えた10月30日正午すぎに現地を取材すると、市が設置した路上駐車禁止のコーンポストが約300メートルにわたって路肩に並び、駐車場は普通車、大型車ともにほぼ満車の状態。大型バスが来るたびに御射鹿池を望む歩道は観光客でごった返し、立ち入り禁止区域の高台から写真撮影をするグループもいた。

ツアー客16人と2泊3日の日程で訪れた添乗員の三好三郎さん(55)=大阪府=は「御射鹿池の訪問は2年目で静けさと美しさが好評。トイレと道路案内が充実すればもっと来る」。写真を撮影していた杉沢宏さん(52)=埼玉県東松山市=は「これだけ人が来ているのにお金を使う場所がない。売店をやればもうかるのに」と話した。

ツアー客の多くは、近くの「おしどり隠しの滝」を見学する団体もあるが、30~40分滞在して次の目的地へ向かう。いわゆる「通過型観光」が主流となっている。

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