持続可能な観光地目指して 御射鹿池企画・下

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「『緑響く』の絵の世界に浸れるような環境を維持させていくことが大切だ」。御射鹿池がモデルの名作「緑響く」を描いた画家の東山魁夷がスケッチのために滞在した渋辰野館の辰野裕司社長(70)はこう語り、御射鹿池周辺の過度な観光開発に警鐘を鳴らす。

地元では昨年3月、奥蓼科観光協会と笹原観光まちづくり協議会、御射鹿池を管理する笹原土地改良区、地権者の七ケ耕地財産区、茅野市、ちの観光まちづくり推進機構でつくる「関係者会議」が発足。公衆トイレの新設整備に向けて意見を交わしたほか、御射鹿池周辺への「個別出店は認めない」ことを決め、今ある自然景観を壊さない方針を確認した。

しかし、観光客が先んじて押し寄せているため、受け入れ体制が十分に整っていないのが現状だ。駐車場の稼働率や観光客の動向といった実態の把握もできていない。周辺整備に伴って「撮影ポイントが減り、魅力が低下した」と嘆くカメラマンもいる。

観光客が集中する繁忙期のマイカー規制や、ライブカメラによる渋滞情報の発信を求める地元の声に対し、市観光まちづくり推進課は「通過途中の道路脇に御射鹿池があり(マイカー規制は)物理的に難しい」とする半面、交通量などの調査について検討する意向を示した。「地元の皆さんと話し合いながら問題の解決を図りたい」と話す。

関係者会議は、御射鹿池を観光地化するのではなく「拠点」として生かし、旅行者を周辺の観光資源や宿泊施設につないでいく仕組み作りを模索する。

新しい試みも始まっている。ちの観光まちづくり推進機構は6~9月に「御射鹿池と水の郷を巡る日帰りバスツアー」を行った。笹原観光まちづくり協議会の協力を得て、地元住民の案内で笹原区内を巡り、御射鹿池の水を利用する農村集落の人と暮らしを紹介。新聞広告の効果もあり9日間で首都圏の70代を中心に164人が参加した。

奥蓼科観光協会の鈴木義明会長(46)は「蓼科高原には多様な魅力がある。奥蓼科だけではなく『オール蓼科』で楽しめるような提案ができれば。市に頼るだけではなく宿泊施設や地域が自ら努力することも大切だ」と語り、広域的な視点で観光振興に取り組む必要性を指摘した。

ちの観光まちづくり推進機構に「観光の旗振り役」を求める声もある。同機構の高砂樹史専務理事(54)は「情報発信に努め、旅行者が地域の人たちと交流し、暮らしを体験する方向に持っていきたい。滞在時間を伸ばし、宿泊や旅行消費額の増加につなげていく」と話している。

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