重文「中務像」初公開 サンリツ服部美術館

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初公開されている重要文化財「佐竹本三十六歌仙絵 中務像」

「うぐいすの
 こゑなかりせは雪きえぬ
  やまさといかて
     はるをしらまし」

和歌の優れた36人の詠み人「歌仙」を描いた最も古い「佐竹本三十六歌仙絵」の1枚で、重要文化財の「中務像」が、諏訪市のサンリツ服部美術館で初公開されている。大正時代に分割されて100年目となる節目。ほとんど公開記録の無い、あでやかな姫(女流歌人)が表舞台に再び姿を現した。12月15日まで。

中務像は、特別企画展「やまとうた 三十一文字で綴る和の情景」の後期で、重要美術品の「大字和漢朗詠集切」などとともに展示されている。中務は平安中期の歌人。名前が不明で父親が中務卿だったことから、中務像と呼ばれる。女性らしい恋の歌を得意としたと伝わっている。

掛け軸の作品は、本紙上下の一文字に金らんが使われ、中廻しにも金糸が施された豪華な作りだが、茶系の落ち着いた表装が絵を引き立てる。添えられている和歌は「うぐいすの声が聞こえない雪が残る山郷では、どうやって春を知るのだろう」との内容だ。36人の中で女性は5点のみ。それだけに十二単をまとった姿は華やかさを漂わせ人気が高いという。

重文指定は1950年。複数の所有者を経て近年になって同美術館に寄贈された。指定後に一般公開された記録は見当たらず、今回の企画展が「おそらく初公開」(同美術館)という。

分割後100年目の今年、京都市の京都国立博物館でも24日まで特別展「流転100年 佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美」が開催され、全国に散らばる31点が展示された。サンリツ服部美術館は「大中臣能宣像」も所有。同作品は展示協力したが、中務像は寄贈者の「初展示は諏訪の人たちに見てもらいたい」との意向で同美術館での公開となった。会場には“32人目の歌仙”にも会いたいと、京都帰りに足を運ぶ人も多いという。

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