高山帯動植物絶滅の危険性 長野など10道県

LINEで送る
Pocket

県環境保全研究所(長野市)などでつくる研究グループは、地球温暖化が現状のペースで進む場合、高山帯で生息する動植物の逃げ場が今世紀末になくなる恐れがあるとの研究結果をまとめた。温暖化で動植物の生息域は、より気温が低い地域へ移動する必要があるが、研究の結果、長野など10道県の高山帯では移動先が国内で見つからない場合があった。同研究所は「ライチョウや県内に多く分布する高山植物が絶滅する危険性が高まる」としている。

温暖化で暑くなると、動植物は以前と同じ気温を求めて標高が高い地域か北への移動が必要となる。研究グループは、さまざまな気候変動モデルなどを用いて、全国各地の約1キロ四方の年平均気温を現在と将来(2076~2100年)で比べ、動植物の生息や農作物の栽培に適した温度帯がどの程度の速さで移動するのかを分析した。

その結果、温暖化が現状のペースで進むと仮定した場合、同じ温度帯が1年当たりに移動する距離は全国平均で249メートルと試算。山の麓や中腹では、近場で標高が高い場所への移動で済む一方、山頂部では他の山への移動が必要で長距離となるケースがあった。長野のほか岐阜、富山などの10道県の高山帯では、国内に移動先が見つからない地点さえあり、県内では北アルプスや八ケ岳が該当した。

その上で、生息適地の移動速度に動植物が追い付けない場合や高山帯では絶滅の可能性が高まると指摘。動植物園での飼育栽培や、種子などを遺伝子資源としてしか保全できないケースが出てくる可能性があるとした。

対策としては温室効果ガスの排出削減や動植物の移動補助、生息域外での保全策の検討が必要と強調。同研究所の高野宏平研究員は「温暖化が高山帯に深刻な影響を与える可能性が数字で鮮明になり、危機的な状況であることを知ってほしい」としている。

研究成果は27日に開かれる環境情報科学研究発表大会で発表される。

おすすめ情報

PAGE TOP