2019年12月1日付

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季節の境目が見えるようなおとといの朝だった。氷点下の空気が景色を変えたのか、色鮮やかだった里の紅葉は枯れ葉となって落ちた。朝方まで山を覆っていた雲が消えると、中腹まで雪化粧していて、冬の到来を納得させた▼麦がまかれている畑には緑色の線がいく筋も見えるようになった。芽を出して間もない畑もあれば、既に株が太ってきた畑もある。畑の周りは冬色だったが、霜で真っ白になっても負けない麦の生命力が緑色に表れているような気がした▼麦は踏まれて強くなるといわれる。晩秋から初冬にかけての麦踏みは、霜柱で土が持ち上がらないようにするだけでなく、株分かれを進め、根張りを良くしていくために行うそうだ。徒長を防ぐことで、耐寒性を高めるともいわれている▼そして春先、田畑の雪が消え、冬越しした麦が青々としてくる頃、また踏まれる。早春の風物詩のようなものだが、機械化、省力化が進んだ今の時代には、人の足で踏む”麦踏み”は子どもたちの農業体験などイベント的なものぐらいになっているのかもしれない▼伊那市内で行われた絵画展で、中央で活躍している画家の紹介をした画廊のあるじがこんなことを言っていた。「苦労された先生だが、一気に画壇のトップに躍り出た。深く沈めばその分高く飛び上がれる」。まねをしたいものだが、飛び上がろうにも、まずは苦労に耐える生命力を養わないと。

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