2019年12月13日付

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民家軒下の干し柿が程よくしぼんであめ色が濃くなってきた。昔ながらの冬の風物は食材が不足するこれからの季節に備え、厳しい寒さを乗り切るための日本人の知恵でもある▼干した野菜、果物には生とは違った滋味があると聞いてまね事をしてみた。傷が入ったリンゴを薄く切り、干すことわずか2日でできた。柔らかさが残り、かみしめると穏やかな甘さと香りが広がる▼近頃は、リンゴの皮部分に豊富な栄養が含まれるといって、皮をむかないままの食し方が勧められている。ゴボウにしてもアクを抜かず皮つきで、とこれまでの料理の基本とは真逆のような調理法が家庭の台所で通例になりつつある。昨今の健康志向に応じて科学分野で食の研究が進んだら、ごみ減らしにもなった▼弊紙に農業歳時のコラムを寄せるJA信州諏訪の坂本良子さんは、手作りの入浴剤を紹介した。大根葉やトウモロコシの毛には発汗作用があり、人参の葉は湯冷めをしにくくする。ショウガの薄切りを湯船に入れれば芯からぽかぽか―。身近な素材を余すことなく役立てる工夫と心配りに感じ入る▼各地で大災害が多発し、地球規模で暮らし方の見直しが強く求められている。COP25(締約国会議)、東京五輪など日本の姿勢が世界の注目を集める中で、地方に昔から息づいているつつましく丁寧な暮らしぶりも胸を張ってアピールすべき一つではないだろうか。

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