2019年12月22日付

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堀口大学に「夕ぐれの時はよい時」(月光とピエロ)と題した詩がある。〈夕ぐれの時はよい時、かぎりなくやさしいひと時。〉と繰り返される詩句が、暗闇に閉ざされてしまう前のつかの間の安らぎを感じさせて、なんとも心地良い▼冬の季語に「冬夕焼け」「寒夕焼け」という言葉がある。日本大歳時記で俳人金子兜太は、〈冬の夕焼けは短いが、街の空や野末の空に妙に余韻を残す〉と解説している。色も強い夏の夕焼けに対し、冬の夕焼けは淡くはかないが、心穏やかな時間を与えてくれる▼いまの時期は日が暮れてしまうのが本当に早い。朝、顔を出した太陽は、夏場に比べると、見かけ上はるかに短いコースを急ぎ足で駆け抜けて、沈んでしまう。まさに「短日の極み」である。太陽高度は低く、冬の光は昼であっても、夕日のように傾いて柔らかい▼夕焼け同様、短日の季節には、ほっかりと暖かい日も貴重だ。「冬暖か」という季語もある。過ごしやすい穏やかな天候はありがたくもあるが、暖冬で「冬らしくない冬」になっても各方面に影響が出てくる。まったくの身勝手ではあるが、やはりほどほどがいい▼これからが冬本番だが、太陽は春へ向かってUターンし、「日脚」は少しずつ伸びていく。陰が極まり、陽に転じる「一陽来復」の言葉を胸に、来年は先行きが明るくなると強く念じながら、あわただしい年末を乗り切りたいと思う。

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