「富士見森のオフィス」開設半年 交流生まれ地域に活力

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緑豊かな環境の中で仕事するIT企業のスタッフ

緑豊かな環境の中で仕事するIT企業のスタッフ

富士見町が取り組むIT企業誘致のテレワーク(遠隔地勤務)事業で、同町塚平に共同入居のサテライトオフィス「富士見森のオフィス」を開設して半年余り。現在、社員が常駐しているのは契約企業8社のうち5社。町が目指す都会からの移住・定住に即つながらない難しさはあるが、諏訪東京理科大(茅野市)との雇用連携や、入居企業と住民の交流が生まれるなどで新たな活力も出始めている。

事業は地方創生戦略の人口減少対策で、都会からの移住、定住を促すのが狙い。昨年12月12日、武蔵野大の保養施設を借りて開設した。初年度の家賃を無料として入居企業を公募し、定員の8社が集まった。本格的な入居が始まったのは4月。現在、5社の10人程度が働いている。

しかし、その全員が県内や町近隣の出身者。ある企業では、「田舎暮らしに憧れても、移住となれば覚悟がいる。富士見での勤務を希望する社員がなく、新規採用が集まらない」という。

社員の地元定着も課題だ。ベガシステム(本社東京都)の鶴田恵子さん(32)は、岡谷市内の実家から通うが、「買い物が不便。本社なら通勤時間10分だったが、今は1時間近くかかって大変さが増した。いずれは本社に戻りたい」と明かす。

こうした実情、業界の技術者不足から、入居企業の多くは現地雇用を希望。諏訪東京理科大に注目し、卒業後の就職の受け皿としてだけでなく、学生時代からの研究活動支援や事業の産学連携を進める企業も出てきた。また、オフィスの公共ゾーンを使って一般向けの講座を開き、地元でのビジネスチャンスを求める企業もある。

町は、「移住、定住につなげるには町内の多面的な受け皿の整備が不可欠」とし、地域起こし協力隊員3人、町民と進出企業のコーディネーター2人を置いて住民交流を促したり、ハード面では空き家の確保、公共交通網の充実、JR富士見駅一帯の活力創出などを模索。IT技術を町内の農業や福祉に生かすシステムの開発を入居企業に発注し、事業の支援も始めた。

主管の町総務課企画統計係では、「遠隔地勤務の就労形態を取り入れる企業がまだ少なく、移住・定住の成果を出すには時間がかかるが、現時点で受け入れを始めたことが意義深い。息長く取り組んで定着を目指す」と話している。

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