2019年12月28日付

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除夜の鐘は騒音か―。ついにここまで来たか、との思いもあるが、昨今の“クレームブーム”の中でも「除夜の鐘はうるさいからやめろ」は突出しているか。個々の権利が尊重される社会は大歓迎。だが、社会生活上受忍すべき限度を超えているのか否かの問題なのか、単なる身勝手か、きちんと見極める社会であってほしい▼百八つの煩悩を払って、新年を迎えるという年末の風物詩が逆に「払われ」ようとしている。昨今は特に、各地のお寺で除夜の鐘を中止したり、昼間や夕方に実施するなど、一部のクレーマーに四苦八苦しているという▼そう言えばここ数年、保育園や地域の子どもたちの声、運動会、ラジオ体操、盆踊りなど、これまで当たり前だった事象や行事が「うるさい」の一言で存続の危機にさらされている。少子化は問題視しても子どもの声は公害扱いか▼音や声だけではない。近年耳にしたクレームで印象深いのは「ダビデ像にパンツはかせろ」や「二宮金次郎像は歩きスマホを思わせる」「貫一お宮像は男尊女卑」など。個々の権利どころか、文化や伝統上の論議でもない。単なるいちゃもんだ▼煩悩の中でも「真実への無知」「怒り」「貪欲」は、三毒と呼ばれ、悪の根源ともされている。まさに昨今のクレームを構築する要素でありやしないか。いずれにしても年の瀬。除夜の鐘によって旧年の怒りや無知を払い清める時期である。

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