2020年1月13日付

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「自分が知っていたのは一部だと気づかされた」「将来の選択肢が広がったような気がする」。地元企業や地域の魅力を知ってもらおうと昨年11月に伊那市で開いた中学生キャリアフェス。参加した生徒から寄せられた感想である▼人口減少や人手不足を受け、地方では将来を担う若者を呼び込もうと躍起だが、なかなか目を向けてもらえない状況がある。こうしたキャリア教育の重要性が高まっている。同フェスは単なる企業説明会ではなく、大人が地域への思いを熱く語るスタイルが特徴である。子どもたちも大いに刺激を受けたことだろう▼イソップ寓話に「田舎のネズミと町のネズミ」という話がある。都会に住む町のネズミは田舎を退屈だと言って田舎のネズミを町に招待するが、都会の喧騒に驚いた田舎のネズミは静かな田舎暮らしが性に合っているとすぐに帰り支度を始める▼都会と田舎。どちらがいいかということではなく、幸せの形は人それぞれであり、安心できる居場所は異なるというのがこの話の教訓とされる。田舎のネズミも外界に出たからこそ気づいたことがあり、見聞を広めることはむしろ大切であろう▼ただ、県内では進学などで県外に出たまま戻らない若者も少なくない。どのような人生を選ぶにせよ、自分の可能性を狭めず、さまざまな選択肢があることを忘れないでほしい。それを伝えるのは身近な大人の役目ではないか。

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