2020年2月9日付

LINEで送る
Pocket

女性が妊娠中であることを周囲に伝えるツールとして定着の「マタニティマーク」。この逆の型「席ゆずります―声かけてください」が今、都市部を中心に話題らしい。周囲の人の「妊婦さんの力になりますよ」のメッセージ発信に役立っているという。便利ではあろう。だが、いくばくかの割り切れなさも残る▼発案者は最近、第一子が生まれたばかりの男性。妊娠中の妻と乗っていた電車内で通常は「席を譲られる」はずの高齢の女性から席を譲ってもらい、申し訳なさとともに初めて「譲られる側」となって世界の見え方が変わったという▼誰もが一度は実感しているのではなかろうか。電車やバスで席を譲る際に必要になるいくらかの「勇気」。譲りたくないわけではないが、声掛けができない場合もある。男性はそこに着目し席を譲る意思が示せるマークに仕立てた▼マークは、マタニティマークのシンボルになっている赤ちゃんを抱く母のイラストに「席ゆずります」などの言葉を添えた。ツイッターなどを通じて拡散し、昨年12月の発売後間もなく売り切れ、現在は入荷待ちの状況という▼公共交通機関は妊娠中のみならず、高齢や乳幼児連れ、障がいがあるなど、さまざまな環境を抱えた人たちが利用する。マークがそんな人々の快適さを引き寄せる手段になるのは望むところ。それ以上にマークがなくとも気遣える周囲がいる社会を求めたい。

おすすめ情報

PAGE TOP