2016年07月17日付

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学生時代、下宿の部屋に電話はなかった。使ったのは公衆電話。あちこちにあったから不便は感じなかった。10円玉の残りを気にしながら話すスリル感。ズボンのポケットいっぱいに小銭を入れての遠距離通話が懐かしい。携帯電話を使える時代がくるとは夢にも思わなかった▼受話器を上げてから硬貨を入れ、番号を押す。この操作を知らない子どもが少なくないらしい。小学校で使い方の教室を開いた話も聞く。子どもの世界でも携帯電話の普及は著しい。小学生で3割強が持っているという調査がある。身近に便利な道具があれば使うのは仕方ないし、公衆電話を使わざるを得ない場面がなければ無理もない▼3月に東京で起きた女子中学生の誘拐事件を思い出す。2年間も自由を奪われた少女は、拾った1枚の硬貨を大事に持っていた。犯人が外出した隙に部屋から逃げ出し、駅の公衆電話から自宅に助けを求めたという。少女の機転に感心し、公衆電話の存在感を改めて感じた▼災害時は優先電話になる。電話が混み合い、携帯電話が使えなくなった場合でも通信規制の対象外。時に命をつなぐ役目を果たす。ところが、設置台数は減少している。利用しようと思ってあたりを探してもなかなか見当たらない▼2006年7月の豪雨災害から10年。自然災害はいつ起きるか分からない。公衆電話の設置台数や場所を点検してみるのも身近な備えの一つ。

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