有休の取得推進 掛け声倒れの可能性も

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また、掛け声倒れに終わってしまうのではないか。厚生労働省が年次有給休暇(有休)の取得を推進する「プラスワン休暇キャンペーン」のことである。連続休暇が比較的取りやすい夏季に有休を1日でも多くプラスし、有休消化を促進するよう企業などに要請した。だが、果たして有休が取れる環境づくりは進んでいるのか。「働き方改革」が叫ばれる中で、その実効性が問われている。

厚労省の就労条件総合調査によると、2014年の有休取得率は47・6%と半分にも満たなかった。前年実績の48・8%も下回るありさまで、労使双方の意識改革が進んでいるとは言い難い。仕事と生活の調和を提唱し、有休の取得促進を呼び掛けてきたにもかかわらず”笛吹けど踊らず”で、働き方は旧態依然としたままだ。

長野労働局は先日、政府方針に基づき、県内の主要な労使団体に「夏季における年次有給休暇の取得推進」に向けた取り組みを文書で要請した。だが、労使の自主的な取り組みに委ねるだけでは不十分だ。要請が掛け声倒れに終わらないためにも、きちんとした追跡調査を行い、検証するなど実効性ある取り組みを望みたい。

取得率が一向に改善しない背景には、有休が取りづらい社内風土にある。労働者の権利とは知っていても「上司や同僚に迷惑がかかる」「査定や昇格に影響が出る」などの理由で申請をためらうケースが多い。民間の調査によれば、有休を取ることに罪悪感を感じると回答した労働者が4割もいた。

このままでは、政府が目標に掲げた「20年に有休取得率70%」にすることなど、とてもおぼつかない。取り組みを加速しないと、うつ病を発症したり、過労死や過労自殺問題も解消しない。長時間労働が当たり前となっている現在の労働慣行を改める必要があり、有休を取りやすくする職場の環境づくりが欠かせない。

働き方改革では、夏の生活スタイルを朝方勤務にして、夕方以降を家族と過ごす「ゆう活」の推進にも取り組んでいる。政府の提唱で2年目を迎えるが、昨年夏に実施した国家公務員からは「残業は変わらず、勤務時間が長くなっただけ」と不満を漏らす声が7割にも達した。うたい文句は大変結構だが、知恵を出さないと、こちらも掛け声倒れに終わってしまう。

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