歌で地域に恩返し 自作品をCD化し貸し出し

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著名作詞家の色紙や貸し出し用CDを手に笑顔を見せる小口さん

著名作詞家の色紙や貸し出し用CDを手に笑顔を見せる小口さん

2006年7月19日の豪雨災害で被災した作詞家の小口幸重さん(76)=岡谷市湊3=が、自らの作品を歌入りCDにして無料貸し出しを始める。土石流で全壊した自宅にいて土砂の中から生還し、多くの支援を受けて生活を再建した小口さん。この10年、「助けられた命」の使い道を考えてきた。感謝の心を込めてつづった歌を通じて、地域に恩返しをしたいと考えている。

小口さんは18歳のころ、ファンレターを送った作詞家の石本美由起さんらに勧められ、歌謡曲研究会の同人誌「こけし人形」に投稿を開始。作詞の勉強を始めた。23歳でコロンビア歌謡コンクールに入選し、レコードデビューを果たす。

1969年には岡谷市で療養中だった作曲家、平尾昌晃さんの依頼で書いた「星のみずうみ」(歌・布施明さん)がヒット賞を受賞。歌謡界に地歩を固めつつあった矢先、研究会作詩部主幹で友人の二条冬詩夫さんが急逝。悲しみの中で同人誌への休載を決意し、会社勤めに専念した。

作詞家復帰は退職後の2002年。星野哲郎さんから前年届いた残暑見舞いに「長い長い詩歴ですね、手を放さないで書き続けて下さい」と書かれていたことがきっかけだった。同人誌への投稿を再開し、現在、二条さんと同じ作詩部主幹を務める。

豪雨災害では押し寄せた土砂に倒され、数メートル流された。「星のみずうみ」のヒット賞の賞状や獅子のブロンズ像などが流失し、避難生活を余儀なくされたが、ボランティアら多くの人たちの支援で自宅を再建した。当時の心境を歌った「龍馬花みれん」は07年に全国発売され、話題を集めた。

CDの貸し出しは、作詞家復帰後に手掛けた37曲からスタート。男女間の心情を歌った演歌や歌謡曲をはじめ、近松物や股旅物、台詞入りの歌、諏訪地域や各市町村の魅力を歌った「ご当地ソング」もある。21日から貸し出しを始め、カラオケ大会や踊りイベントなどで歌ってもらう考え。作詞家を志す人がいれば積極的に応援する意向だ。

小口さんは「奇跡的に命拾いをして神様から『まだ生きて世のために尽くせ』と言われたような気がする。豪雨災害から10年、御柱年の今やらなければと思った」と語り、「歌を通じて諏訪地方の皆さんに元気になってほしい。観光活性化のお役にも立ちたい。少しでも恩返しができれば」と話している。

問い合わせは小口さん(電話0266・23・3783、平日の午後7時~同8時)へ。

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