2020年2月23日付

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諏訪地方の製造業の社長が「いよいよ影響が出始めた」と表情を曇らせている。新型肺炎の拡大で中国からの資材の確保、需要が滞り生産、受注ともに動きが鈍くなっているという▼ものづくり集積地の諏訪、上伊那地方は資材調達はもとより中国に自社工場を抱え、市場展開する企業もあって関わりが深い。「この状況が続けば地域全体が深刻な事態に陥る」と社長。感染者は日ごと数を増しており、今後さらに広がれば影響は他業種にも及ぶ▼新型肺炎は個々人の健康を脅かすだけでなく、地域の体力も衰えさせる恐れがある。命、生活の両面から迫る危機に人心とて穏やかでいられないだろう。取りあえずの自衛と対症療法に頼り、世界中が推移を見守る以外に手立てのない状況は、もしや神による人類、社会の淘汰の計らいかと疑う▼こんな時、人の在りよう、国民性がまざまざと見えてくる。過日、マスクの買い占めが騒動となった際、国内では手元の紙や布で手作りする市井の知恵がネット上で数多く発信された。この地元では近頃、風邪気味の人が「ちょっとした咳でも皆が不安がるだろうから」と気を遣って催事への参加を辞退する姿を多くみる▼これまで地域の一大事も、数多の命を失う天変地異さえも、持ち前の穏健さと他者への思いやりで乗り越えてきた。今もまた、その「らしさ」を体現してみせる局面にあるのではないかと思う。

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