乗鞍岳から中アへ放鳥 ライチョウ復活へ

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環境省は27日、中央アルプスで国特別天然記念物の絶滅危惧種ニホンライチョウの生息地を復活させるため、来年度に乗鞍岳から野生の3家族約20羽を中アへ運び、放鳥することを決めた。中アに1羽だけ生息しているとみられる雌に、動物園などで飼育する個体が産んだ卵を温めさせてふ化を目指す野生復帰事業にも初めて取り組む。駒ケ岳ロープウェイが支柱の不具合で運休しているが、同省は事業を計画通り実施するとしている。

この日、さいたま市内で開いた環境省のライチョウ保護増殖検討会で来年度事業が承認された。検討委員の中村浩志・信州大名誉教授(鳥類生態学)は会合後の取材に「4家族の集団が確保できれば、その後の自然繁殖などでさらに個体数の増加が見込める。5年後には100羽の生息も可能ではないか」と事業の成功に期待した。

同省によると、ライチョウの「移住」は1960年代に富士山などで実施して以来の試みとなる。乗鞍岳には成鳥約190羽が生息しており、母鳥と6月下旬ごろふ化する予定のひなの3家族約20羽を保護し、生存率が高まる8月上旬に中アへ運ぶ。移送には、個体に与える負荷を抑えるためヘリコプターを利用する方針だ。

野生復帰の事業では、中アの雌が産む無精卵と、飼育施設から運んだ有精卵を取り替える。ライチョウの飼育施設は動物園など全国に6カ所あり、うち卵の提供を可能としている5施設から最大8個を、産卵期に合わせて6月上旬に移送する計画。実施に向けて5月上旬に雌の生息を確認する。

昨年試行した野生の卵の移植事業では、中アで5羽のひなが誕生したが、間もなく全滅した。天敵による捕食などが原因とされた。このため、生後直後のひななどを夜間にケージ(籠)に入れて守る「ケージ保護」を導入する。捕食動物の捕獲も行い、生息しやすい環境をつくる。

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