2016年2月20日付

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俵万智さんの歌集「サラダ記念日」にこんな歌が載っている。「青春という字を書いて横線の多いことのみなぜか気になる」。横線をどう解釈するか。壁か、あるいはハードルか。悩み多き青春時代を巧みに表現していて面白い▼この春から新社会人となる人もいよう。仕事が始まれば誰でも多かれ少なかれ壁に突き当たる。そんな経験がやがて血となり肉となるものだが、残念ながら早々に見切りをつけ、やめてしまう若者も少なくない▼厚生労働省によると、新規学卒者の3年後の離職率は高卒者が40・0%、大卒者が32・3%に上る(2012年3月卒業者)。景気回復に伴い雇用情勢が改善してきたことなどが背景にあるという。売り手市場だともてはやされ、仕事を軽く見ていないか。バブル時代の再来のようで少し心配になる▼無論、職業選択の自由はあるし、自分の夢や理想を追い続ける人もいるだろう。人生に迷った時、現状を変えたいと考えるのも人情だ。ただ、3年ぐらいでその仕事の何が分かるのかとも思う▼映画「タクシードライバー」で仕事に嫌気が差した主人公に先輩ドライバーが忠告する。「ある仕事につけば、その仕事がその人自身の姿になる」(荒井良雄著、シネマ名言集)。好むと好まざるとにかかわらず、仕事が人をつくるということか。ならば与えられた環境で全力を尽くす。壁を避けてばかりいては迷路に迷い込む。

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