備えは今 豪雨災害10年[上]天上事務所

LINEで送る
Pocket

最新レーダー雨量情報「X―RAIN」の説明資料。局地的な降水など、より高精度な情報をほぼリアルタイムで確認することが可能になった

最新レーダー雨量情報「X―RAIN」の説明資料。局地的な降水など、より高精度な情報をほぼリアルタイムで確認することが可能になった

辰野町で4人が犠牲になるなど、上伊那地方でも土石流や洪水で大きな被害があった2006年7月の豪雨災害から10年が過ぎた。災害の教訓を生かす取り組みも10年が経過。対策は今、どうなっているのか。住民の意識や安全安心の現況を探った。

「治水の安全度が格段に向上した」

甚大な被害をもたらした06年豪雨災害から5年後の11年7月22日。伊那市の天竜川と三峰川の合流点で開かれた激甚災害対策特別緊急事業(激特事業)の完成式で、同市の白鳥孝市長は河川改修の完成に喜びを示した。

天竜川の激特事業は、国土交通省天竜川上流河川事務所(駒ケ根市)が辰野町―伊那市の約20キロを対象に実施。総事業費約84億円を投じて河道の掘り下げや護岸・橋の補強などを行い、06年豪雨と同規模の出水があった場合でも水位が0・5メートル低下するよう整備した。

温暖化や局地的豪雨の頻発化を受け、09年にはさらなる出水を想定し、30年かけて一層の河川整備を図る天竜川水系整備計画を策定。諏訪湖・釜口水門(岡谷市)からの最大放流量毎秒600トンなど戦後最大規模相当の洪水に対応できるよう、30年間で段階的に堤防整備や河川改修を進める計画だ。

こうしたハード整備を推進する一方で、同事務所の宮下良広副所長は「被害軽減には過去の災害に学び、地域全体で防災意識を高めることが大切になる」と指摘する。「洪水が頻繁だった昔は、住民が常に雨対策を考えていた。危険性や被災の可能性を意識することで、対策は講じやすくなる」と訴える。

同事務所は「『水防災意識社会』の再構築」を目標に掲げ、5年間で「安全への思い込み」を払拭する取り組みに着手した。地元の自治体や関係機関との連携や防災教育を通じ、住民が個々の問題として災害に向き合う意識を高めたい考えだ。防災教育には06年豪雨災害を含めた過去の災害資料の活用も検討している。

さらに判断材料として活用してもらおうと、情報提供も強化している。天竜川の監視カメラを増設し映像をインターネットで配信しているほか、今月1日からは局地的な降水などを把握できるネット上の最新レーダー雨量情報「X―RAIN(エックスレイン)」の配信対象エリアを県内全域に拡大。さらに9月の公表を目指し、想定最大規模の降雨による流域の浸水想定区域図を作成している。

宮下副所長は「まずは自分で身を守ることが基本。行政機関としては基盤整備とともに、万一の際に適切な判断や行動が取れるための支援を積極的にしていきたい」としている。

おすすめ情報

PAGE TOP