2020年3月10日付

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卓上型の小さな旋盤だったが、視線を集めるには十分効果的だった。高速で回転する部品にバイト(切削工具)が当たると、見る見るうちに形が変わっていった。子どもたちの多くが工作機械を見るのは初めてだったのかもしれない。中には立ち止まって加工の様子を見詰める児童もいた▼伊那商工会議所青年部が先月、伊那市内で開いた職業体験イベント「このまちのおしごとごっこ~大きくなったら何になる?」の一場面だった。新型コロナウイルス対策でマスク姿が目立ったものの、大勢の子どもたちが来場していた▼会場には地元の企業・団体の体験コーナーが並び、子どもたちは遊び感覚で仕事に挑戦していた。その道のプロや専門職、職人、技術者たちから直接教わって、将来の夢を膨らませているようだった▼旋盤は精密部品を作る会社が持ち込んだ。この会社が子どもたちのために用意した体験メニューは精密部品の組み立てで、ものづくりの一端を知ることができる。部品加工の実演は、体験の順番待ちで列をつくる子どもたちに、製造業への関心を持ってもらうために考えた仕掛けだった▼旋盤に興味を示した児童に社長が話し掛けていた。寸法を測るマイクロメータの使い方も教えて、「上手だね。大きくなったらうちの会社に来ないか。工場長になれるよ」と肩をたたいた。褒められた児童には、きっと忘れられない体験になったろう。

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