2020年3月21日付

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市井の苦労を酌んで寄り添う為政を、人のぬくもりに例えて「血の通った政治」と呼ぶ。富士見町が新年度に打ち出す消防団員への支援策にこの言葉が浮かんだ▼近年の地方行政はとかく税金や住民を地域外から集める競争意識や、都会の発想や技能に活路を求める政策が目立つ。地元民の力は端から期待されておらず、暮らしを維持する努力は「当たり前」としかみられていないようで、「行政の力の入れどころが釈然としない」とのぼやきもしばしば聞く▼消防団員も当然の存在に置かれて久しいのではないか。彼らは夜明け前から訓練に汗し、地域安全のために盆暮れも屯所で明かす。ひとたび災害が起きれば危険の最前線に立って住民を守る。それほどの献身に対して現状の評価も報いも十分とは言い難い▼その貢献に光を当てたのが同町の新たな支援策。住宅の新築や改修の費用補助を規定より上乗せし、団行事の時には託児をサービス、婚活も後押しする。町長の号令で庁内全課が支援策を練り出した。そして単なる消防団支援ではないのが政策のミソという▼地域の複雑で濃い人間関係の中で活動し、命の危機が迫る局面ですら忘己利他の精神に立てる若者がこの地にどれほどいるだろうか。それは地域力の指標にもなろう。消防団はそうした心も養う担い手育成の場―と町長はみる。団員の力に明日の町を賭ける行政の心意気もまた温かい。

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