2020年3月24日付

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もう草取りですか―と声を掛けてみたのだが、「もう」はいらなかった。周りを見れば、枯草の下はすっかり緑色に変わっている。庭先にしゃがみこんで草を取る知人は「今摘んでおくと後が楽だからね」と笑っていた▼暖冬だった今年はいつもより速足で春がやってきた。河川敷ではヤナギの芽吹きが始まり、一面冬色だった河原に黄緑色が戻ってきた。里では梅が咲き、桜はつぼみを膨らませている。南方から飛来するツバメも、すぐそばまで来ているのかもしれない▼野山の生命が動き出す春は、なんとなく気持ちをわくわくさせてくれる。元気もくれる。だが、今年はそんな感覚までも抑え込まれてしまった気がする。この時期には恒例だったイベントが中止や延期になり、送別会も自粛が目立つ。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、我慢の冬が続いている▼宴会やパーティーで使われることが多い集会施設では、予定されていた謝恩会や送別会がキャンセルとなり、歓迎会の予約もさっぱりだと聞いた。スタッフは「感染拡大が落ち着いてくれるのを待つしかない」と諦め顔だったが、「送別会ができなくなったお客さまには、『5月ごろに思い出会を開いてみたらいかがでしょうか』と声掛けをしています」と前向きだった▼出口が見えさえすれば状況は変わってくると思う。人と国と経済の体力が問われる今年の春だ。頑張って乗り切りたい。

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