2020年4月9日付

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8日は満月がひときわ大きく見える「スーパームーン」だった。ここ数日、満ちていく月を見上げながら心の中で歌った曲がある。♪満月、空に満月…。井上陽水さんの往年の名曲「東へ西へ」である。つかの間、心の平穏が訪れた▼国立天文台長を務めた故海部宣男さんによると、観月の習慣が盛んになった平安の昔、月はめでるだけでなく拝む対象でもあった。その円い光に仏の真理を重ねたという。先の見えないコロナ禍によって不安にさいなまれる中、天上のお月様に思わず手を合わせた▼平安末期の歌人で僧の西行さんは、こよなく愛した月と桜の花を美しい極楽浄土の象徴と捉えていたという。その桜の盛りの時期ではあるのに、花を楽しむ心の余裕もなかなか持てない。万物が上を向く季節に、閉塞感は募るばかり。春の愁いのなんと深いことか▼政府は7日、新型コロナウイルスの感染が都市部で拡大している事態を受けて、東京など7都府県に緊急事態宣言を発令した。人と人の接触を極力減らすこと、医療提供体制を整えること…。手ごわいウイルスを封じ込めるため、これからが踏ん張りどころとなる▼地球号という同じ船に乗り合わせた世界の人々が、懸命に闘いながら、時に隣人にエールを送っている。人を思いやること、心を寄せ合うことの大切さを思う。♪ガンバレ、みんなガンバレ…。陽水さんの歌を繰り返し口ずさんでいる。

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