霧ケ峰保全に「シカ柵」有効 生物多様性が回復

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兵庫県立大や長野県環境保全研究所などでつくる研究グループは、霧ケ峰高原を対象にした調査で、シカの侵入を防ぐため設置されている柵により、柵内でニッコウキスゲなどの植物や昆虫の多様性が回復したとの研究結果をまとめた。同研究所は「シカの食害に悩む草原で柵の設置が生物多様性の保全に有効であることが分かり、霧ケ峰の今後の保全にとっても重要な指針となる」としている。

同グループによると、霧ケ峰では2000年代にシカが増加。食害により、貴重な観光資源となっていたニッコウキスゲなどの植物が減少した。08年ごろからシカの侵入を防ぐ柵が設置され、今回その効果を検証した17、18年時点で総面積27ヘクタールを囲う柵が設けられているという。

調査では、ニッコウキスゲや、マツムシソウなど花を咲かせる「開花植物」の種類数、チョウやマルハナバチの種類数と個体数を、柵の内側と外側それぞれ12カ所で調査し統計的に分析。シカが入れない柵内は、外側に比べて開花植物の種数やチョウやマルハナバチの種数、個体数いずれも多かったという。

同研究所自然環境部長の須賀丈さん(55)は「霧ケ峰では柵の設置で目に見える形で植物が回復していたが、その効果が科学的に裏付けできた。シカが減らない限り、柵の設置を続けるべき。霧ケ峰などの半自然草原は希少種の宝庫で、多様性を確保することで希少種の絶滅も防げるはず」としている。研究成果は8日付で国際科学誌「バイオダイバーシティ アンド コンサベーション」に掲載された。

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