2020年4月14日付

LINEで送る
Pocket

八ケ岳山麓で別荘を利用する人が増えたという。新型コロナウイルスの感染拡大が続く首都圏から避難してきた人が多いと聞く。季節外れの県外ナンバーに不安を感じる人もいる。10日には茅野市、富士見町、原村の3首長が自宅待機を促す共同声明を出した。感染しない、させない行動が重要だ▼人混みを避け、地方の別荘や実家で隔離生活を送ることを「コロナ疎開」と言うそうだ。別荘利用者は仕事や文化をもたらしてくれる大切な隣人だが、今は「ばい菌扱いです」。蓼科と東京近郊で二地域居住を20年以上続ける男性の嘆きに心が痛む▼長地村(現岡谷市長地)の警防団長を務めた小松美佐雄さんは終戦の前後、東京都中野区から長地村や下諏訪町に疎開した児童たちに米を運び、にぎり飯や柿を毎日のように届けた。当時小学5年生だった石川(旧姓志平)依久子さんの日記をもとに1984年に刊行された「ある少女の集団疎開日記」で知った▼75年前、親元を離れ、食料不足や栄養失調と闘いながら諏訪湖のほとりで集団生活を送る小学生がいた。本土決戦に備えた非常事態である。供出や凶作で諏訪の人々も皆生きるのに必死だった。小松さんの温かい同情と親切は子どもたちの心に何を残したか▼83年4月23日に小松さんが亡くなると、訃報を知った疎開児童たちが墓前に訪れた。他者を思いやる小松さんの心が今も生きていると信じたい。

おすすめ情報

PAGE TOP