2020年4月19日付

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一見、ぐるぐる巻きの針金の固まりだったが、上の方に伸びていこうとしたり、横の方に広がろうとしたりしているのが分かった。スイッチを入れると、冷たい金属の中に、どこか温かさを感じる光がポツリ、ポツリと輝き出した▼美術と技術を融合させた授業を通して、科学的な考え方と芸術的創造性を教えていくことに取り組んでいる伊那市高遠中学校。作品は、臨時休校中で生徒の気配がない校舎の廊下に並んでいた。今の3年生が、2年生のときに取り組んだ美術と技術のコラボ作品だった▼限られた人数の教職員で専門分野を指導していくために、昨年度は文科省の学校ICT(情報通信技術)環境整備促進実証研究事業に参加する信州大学や、ものつくり大学(埼玉県)と連携し、より専門性の高い授業で学びの質を高めてきた同校。美術の授業では大学とテレビ会議システムで結び、専門家からデザインの考え方を教わった▼「自分の心を形にしよう」がテーマだった。抽象立体を創作し、それをイルミネーションで飾って光の点滅を制御するまでを総合的に学んだ生徒たち。作品解説には「思春期特有の心のぐちゃぐちゃ感」とあった▼人は大人に近づいていくにつれて本心を出さなくなるもので、次第に本心を出せる相手が減っていく―ともいわれる。臨時休校で友達と会えない生徒たちは今、ぐちゃぐちゃ感をどうほぐしているのだろうか。

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