セルロースナノファイバー 県が研究に本腰

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県は、木材パルプなどの植物繊維を原料とする次世代素材「セルロースナノファイバー」(CNF)の研究に本腰を入れる。鉄の5分の1の軽さで鉄の5倍の強度を持つとされる”夢の素材”で、熱に強く曲げられる特性もある。優れた技術を持つ企業集積や豊富な森林資源など、県の強みを生かして産業創出や用途開発ができると判断した。意欲ある県内企業を募り、年内に産学官の研究会を発足させる方針だ。

植物繊維を化学的または機械的に処理し、解きほぐした超極細の繊維状物質。県内出身でCNF製造・利用の先駆者でもある京都大生存圏研究所の矢野浩之教授によると、軽量化・燃費向上を目指した自動車部材への応用に加え、高性能な透明材料を作れたり植物由来であったりする点から、電子デバイスや食品、医療など多分野での用途が期待されている。

透明・自在性を生かした折り畳み式スマートフォン、粘り特性もあるCNFをほんの少し加えた「溶けにくいソフトクリーム」などと、夢の商品を生む可能性を秘める。

県によると、県工業技術総合センター材料技術部門(長野市)を核に、精密・電子技術部門(岡谷市)など他3部門も加わり、情報収集や職員の技術研修を進めていく。研究会については「勉強会の形でスタートし、基礎研究、応用研究、技術移転と進展させたい」と説明。県の産業形態に合った研究テーマを設けたい意向だ。

県は25日、CNFセミナーを諏訪市内で開催。30人の定員に対して製造業企業などから90人を超える聴講希望があり、次世代素材への関心の高さをうかがわせた。林業関係機関も出席した。

CNFをめぐる動きは、都道府県レベルでも活発化している。県は「後発になってしまったが、県ゆかりの研究者がいたり信大繊維学部があったり、分析装置が充実していたりと優位性は見込める」と強調。矢野教授は「資源も知恵もある。長野県で発展させてほしい」、製紙大手の研究員は「これぞという用途が出てくるのはこれから。研究を進めてほしい」とエールを送っている。

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