さみしい 高齢者サロン再開待ちわびる声

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取材に応じる清水はな江さん(左)と鈴木久二江さん。高齢者サロンの休止で約3カ月間会っていなかったといい、たまっていた思いを吐き出すかのように会話が絶えなかった

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、上伊那地方で現在、多くの高齢者サロンが開催されていない。利用者から聞こえてくるのは、「サロンでの人との触れ合いがどれだけ大切だったか、今なら分かる」との声。関係者は再開を目指して模索を続けている。

65歳以上の高齢者の人口が1万4人(4月1日現在)となり、初めて1万人を超えた駒ケ根市。高齢者が総人口に占める割合は30・7%(同)、サロンの数は約150に上る。

県内で初めて感染者が確認された2月下旬、市内のサロンは軒並み、当面の活動を自粛することを決めた。利用者が大勢集まると、感染拡大につながる「3密」(密集、密閉、密接)の状態が生まれてしまうからだ。

市は3月25日、国の専門家会議の提言などを踏まえ、利用者の体温測定や手洗いの徹底など「万全の感染防止策」を講じれば4月以降はサロンを開催できると、サロンの運営に携わる生活支援コーディネーターらに通知した。ただ新型コロナについては、高齢者が感染すると重症化しやすいとされる。再開準備に取り掛かったサロンも一部あったが、市はその後、5月末までの自粛を求める方針に転換した。

利用者からは悲痛な叫びが漏れる。

同市市場割に住む鈴木久二江さん(78)は地元のサロンに定期的に通い、利用者同士の会話や軽体操、合唱などに取り組んでいた。「知らない人と交流して親しくなるのが楽しかった」と述懐する。

サロンが休止してからは「楽しみが何にもなくなってしまった」。外出を自粛して家にいる時間が多くなる中、4月末、同じサロンに通っていた70代女性が急逝した。身近な人の死。鈴木さんはサロンの仲間との会話で気を紛らわすこともできず、「怖くて震えが止まらなかった」という。

鈴木さんと同じサロンに通う清水はな江さん(86)は持病があり、1人で外に出掛けるのが難しい。「さみしい。気がおかしくなりそう」。サロン再開の日を今か今かと待ちわびている。

ある生活支援コーディネーターは「サロンを開催することによる感染のリスクと、サロンを開催しないことによる高齢者の健康を害するリスク。後者がだんだんと大きくなっているように思う。ただ前者を無視することもできず、本当に悩ましい」と複雑な心情を語った。

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