2020年5月17日付

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人工知能には負けないと思っていたのだが、相手がマスク姿だと、どうも顔認識機能が正常に働かない。しかもいつもと違う服装だったので、校長先生だと気付くまで、ずいぶん時間がかかった▼久しぶりに訪ねた上伊那農業高校は臨時休校中で、広い農場に生徒たちの声はなかった。実習ができない中で、田畑をどうしているのだろうか…と気になっていた。だが、見渡すと、畑はちゃんと耕され、野菜の栽培も始まっている。土手の草はきれいに刈られていて、いつも通りの初夏の農場風景が広がっていた▼授業が再開するまでは、教員らが農作物の管理や家畜の世話をするそうだ。本来、作物の成長を一から学んでこその実習だろうが、今年は途中からのスタートになる▼田植えをはじめ、みその仕込みや鉢花の植え替えなど、適期を逃すと生育や品質に影響するため、専門科の教員だけでなく、普通科の教員も総動員して仕事をこなしているのだと聞いた。農場から急に呼ばれてもいいように―と、作業服を着て準備しているという校長先生は「この前はモモの花付けを手伝った」と笑っていた▼教科担当から手順を教わり、苗を移植する普通科のベテラン教諭が「30年以上教師をやっているが、これは初めて。この大変さは生徒たちに伝えないと」と話していた。休校中の農場を守った教員らの体験談はきっと、心に響く何かを植え付けることだろう。

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