2020年5月26日付

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人目をはばかることなく泣いた経験を他に知らない。筆者の高校野球は29年前の夏、茅野市野球場で終わった。その年の長野大会で準優勝した私立高校と初戦で対戦し、コールド負けを喫して「甲子園」の夢はついえた▼今月20日、新型コロナウイルスの影響で第102回全国高校野球選手権大会の中止が決まった。あの時と同じように高校球児が泣いているのを見た。「最後の夏」にはあまりにも早すぎる。県高野連によると、県内の3年生部員は1000人弱。29日の理事会で代替大会の可能性を協議する▼公認野球規則を開く。野球は〈囲いのある競技場で、監督が指揮する9人のプレーヤーからなる2つのチームの間で(中略)行われる競技〉であり、チームの目的は〈相手チームより多くの得点を記録して勝つこと〉とある。勝者が集う舞台が甲子園だ▼高校球児は少年時代を野球にささげ、仲間と人生でただ一度の勝負に賭ける。賭けマージャンに興じる計算高い大人たちや、SNSで憂さ晴らしをする卑怯者とは最も離れた場所にいる。高校野球を愛した作詞家の阿久悠さんは敗れ去る球児を見詰め、言葉を紡ぎ続けた▼監督の言葉が今も心に残る。「高校野球には目標と目的がある」。目標は無論、甲子園だ。目的は自ら探求し、発見するものだと思う。君たちは本物の勝者を知っているはず。どうか、正々堂々と最後まで闘い抜いてほしい。

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