2020年05月31日付

LINEで送る
Pocket

どうやって脱出すればいいのか分からない闇夜に居たせいか、たった一つ光が見えただけで気持ちが明るくなる。希望のようなものなのかもしれない。出口らしき光があれば長いトンネルもなんとか歩ける▼人が動き出し、少しずつ街に明るさが戻ってきた気がする。臨時休業や営業時間の短縮で午後8時すぎには、真っ暗になっていた通りに明かりがともっている。まだ不安だらけの新型コロナウイルスだが、今は感染防止対策をし、予防を意識しながら共に生きていくしかない▼伊那谷では今年の冬、西の方角に見えていた星が一つ消えた。中央アルプスの千畳敷で輝いていたホテル千畳敷の明かりだ。麓で暮らしていると見えるのが当たり前だったが、光がなくなると、月明かりで浮かび上がったアルプスが、畏怖の念を抱くほどの雪の壁に見えた▼年明け早々、駒ケ岳ロープウェイが支柱部材の変形のため運行を中止し、千畳敷駅併設のホテルも休業した。その後の新型コロナ感染拡大で地域経済は急速に悪化していた▼4月中旬、仕事帰りに見上げた中アに、人の気配を感じる光があった。復旧工事が始まる知らせのようで、空のどの星よりも輝いて見えたのを覚えている。工事は終わり、駒ケ岳ロープウェイは6月6日から営業を再開する。誘客の柱が動き出し、千畳敷にも明かりがともる。コロナ禍の春を耐えてきた麓の人たちに希望の光が輝く。

おすすめ情報

PAGE TOP