2020年6月14日付

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蛍光灯で世の中が変わったような気がしたという。今から65年以上も前のことだ。手良村(現伊那市手良)の北原國人さんは、農協勤めから帰った後、実家が営む雑貨店を手伝うのが日課だった▼20ワットの蛍光灯は1280円だった。安い買い物ではなかったはずだが、ちょうど普及し始めた頃だったこともあり、よく売れた。それまで使われていた裸電球に比べると、蛍光色の電灯は驚くほど明るく感じたそうだ▼次の波は電気洗濯機。洗濯板を使って洗ったり、川に行って洗ったりしていた時代だ。腰をかがめて行う重労働だったから、洗濯機の登場は人々の生活をがらりと変えた。そして迎えるテレビの時代。北原さんは農協勤めを辞め、家電メーカーの工場で修理を専門に学ぶと、電器店を興した。それから60年。「街のでんきや」として、今も暮らしに寄り添った商売を続けている▼全国電機商業組合連合会の会長として震災の被災地に入ったときのことは忘れない。真っ暗な街に不安を抱く人たちの姿を目の当たりにし、明かりがどれだけ人々を安堵させるかを改めて知ったという。人々の心を明るくする、その明かりを届ける商売に、自信と誇り、使命を感じたようだ▼「生き延びていくには、時代の流れに逆らわず、うまく時代の流れを利用していくことだ」と北原さん。コロナの時代をどう乗り切るか―。商売をする人たちにも明かりをともす。

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